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技術情報

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析
 

弊社が取り組んでいる生体信号解析について解説しています。

はじめに

現代は様々な技術の進歩により、豊な生活を送ることができるようになりました。
その反面、ストレスに悩まされたり、高齢化問題も浮上しています。
人々が健康で暮らすことは何よりも大切なこととなりました。

一人ひとりが自分の健康管理や病気とうまく付き合うことは可能です。ウェアラブル健康機器を使うことも一つの手段です。

ウェアラブル機器を医療で使う時の問題点と弊社の取り組みをまとめました。

                  問題点

・収集データ量が多い
 →1秒間に500~1000のアナログデータ10種類以上の項目
  時系列データとして次々と収集しなければならない

・解析
 →データの圧縮、特微点の抽出が難しい。
  ノイズと異常を見分けることが難しい。
  データのベクトル化が難しい。(単語のように切ることができない)

・AI化
 →ファインチューニングが難しい。
  精神・神経(性格・心理)・病状・体質、それぞれに応じたチューニングが必要。
  ファインチューニングをするには、多大な労力・エネルギー・機器が必要になる。

                               【ウェアラブルにて収集できる生体信号とは】

                        ・電位      心電 筋電位 皮膚表面 脳波 眼電位 胃・腸電位
                        ・力学センサー 呼吸 力(押す・引く・圧力) 加速度 ジャイロ 角度(関節等)
                        ・光学センサー  容積脈波(指・耳) 酸素飽和度 近赤外脳波
                        ・マイク  心音 腸音 コロトコフ音 声  
                        ・その他 体温 照度

2026年現在、ウェアラブル健康機器にて一定精度にて取得可能なものをあげました。ウェアラブル健康機器とは、日常生活の中で被検者本人がデータの取得ができる電子計測機器とします。単に「ウェアラブル」と省略しての記載も可能といたします。センシングとしては、ゲルパットの貼付やバンドやクリップにて体表面に取りつけて、非侵襲的な生体信号の取得ができるものとします。

【解決策の一つとしての提案】


 元のデータに対して適度な波長と振幅を加えるとデータに微振動が加わります。

1)データに一定間隔のソフトウェア信号を付け加える

ベクトルやテンソルのデータに微小信号を付け加えることは、ソフトウェア処理でスピーディーに行うことができます。そして細かな振れの入ったデータから局所的な最大地点、最小地点を抜き出す。この作業も現在はソフトウェア処理にて簡単に行うことができる。

まず、様々な波形を追加し、その後小さな波の頂点や低点を取り出すことにより、元の波の形を崩さずデータが圧縮できます。さらには、付け加える波形・周波数・振幅を適度に調整すると、単にデータを圧縮するだけでなく、データが急激に変化する所では細かい波形が消失・増加します。

例を表示します。いずれも脈波一拍を表しています。

【例 その1】三角関数波を加えた場合

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【例 その2】ソーウェーブ ノコギリ波を加えた場合

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【例 その3】パルス波を加えた場合

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ズ4.jpg

下図:三角関数を組み入れた波形を圧縮・抽出したグラフになります。横軸は時間軸で1/10程度に圧縮しています。圧縮の際、元のデータに大きな変化量があると、グラフの縦軸に表示されています。上段は時間的な特徴、下段は量的な特徴を表しています。

このような作業は回路的 解析学的におこなうことができますが、デジタルデータとして、テンソルとして扱うことで利点が生まれます。

​・デジタルデータ加工なので、付け加えたデータを抜き取り元のデータに戻すこと
 も簡単にできます。

・加工データに対して同じ作業を更に行い、再加工することや違う波形を組み合
 わせることができます。(長いデータのまま再加工)

・抽出データを更に加工することもできます。(短く圧縮したものを再加工)

​・複素解析を行うこともできます。(スペクトル分解、フーリエ解析等)

下図:特徴量のグラフ 脈拍15泊分を繋げたものです。赤い線を入れましたが、この位置は脈がドキンと大きくなる場所です。もともと正常なリズムだった信号が、様々な長さに圧縮されています。

生体データは周期性を持ち、同じ信号を繰り返しています。そして、処理後のデータは、長さ・形はまちまちになってしまいます。まちまちになったデータを周期単位に切り出して、更に長さを揃えます。この際、波形の比例を保つように縮小、拡大を行います。

2)データを適度な長さに切り、ベクトルとする。

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脈拍一拍が同じ長さになるように復元します。

ズ7.jpg

こうして、人間の目では判断できないほど微妙な変化を含むベクトルが生成されます。(このベクトルとは元のデータの波形ではなく、一定の長さで切り、特徴量を抽出した波形を指しています。以下の文章でもベクトルとはデータを加工したものを指しています。)このようにして作られたベクトル配列はソフトウェアにて時系列処理を行うことができます。

これまで記載してきたような作業を行うと何が良いのでしょうか。このような作業の目的は、言語モデルにて培われた成果を模倣したいという考えに基づいています。言語をAIが扱う際には「単語・文節・文章」といった区切りがあり、それぞれに意味があります。これらをベクトルという機械が理解しやすい表現に置き換え、線形代数という数学的・統計的・確率的手法にて様々なタスクを処理しています。

ウェアラブル機器の生体信号についても同様のデータ処理にて取り扱いができるのではないかと考えました。生体活動から発する信号は、言語という生命体すべてが脳から発する音声と同一の考え方でとらえることができるのではないかと仮定しております。(あくまでも仮定して扱うだけですが。)一例としてAttentionモデルのような深層学習の手法を使い、波形の分類をすることができます。モデルとなる波形と被解析波形(あるいはその差分ベクトル)の内積の大きさにより、類似度を確率的な数値として表現します。

3)エンコ―ダモデル

また、特微量を強調するために、ベクトルに演算処理をすることができます。演算のためのパラメータや関数は機械学習を使い導出することができます。

ず8.jpg

ウェアラブルでは同じタイムラインでいくつもの信号を収集することが可能です。データ変形を行うことにより、同じ次元のベクトルを作ると様々なデータの同時解析ができます。収集信号が違っていても、同一次元のベクトルにすることで、同時解析や混合解析が可能です。こうして収集したベクトルは形、時系列処理でこれまで培ってきた統計処理の手法が使えます。

元のデータがなだらかに変化する場合は、一定間隔の小さな上下動があり、大きな変化部では細かな変動が抽出されません。こうして、元の波形を保ったまま、データの圧縮と特殊な地点の抽出を行うことができます。

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まとめ

前回のレポートにて、生体信号をウェアラブル器機にて収集・圧縮・特徴量の抽出についてご説明いたしました。これらのデータ解析を使い、今後は疾病や健康状態との因果関係を探っていくこととなります。実用化までにはまだまだ未熟な状態ですが、基本的な考え方をまとめてあります。なお、前回と今回の解決手法は、特定のハードウェアを指定するものではなくボードやチップと総称される小型のコンピュータ、パーソナルコンピュータ、大型のコンピュータ、クラウド上にあるコンピュータ等、どこでも行うことができます。

ウェアラブル機器が進歩し、精密なデータ、多種多様なデータを収集することができます。またこのデータを処理するためのAIも確実に進化しています。しかし、大量に押し寄せるデジタル信号を処理することは大変なことです。そして時系列AIを用いて大量のデータを処理することが必要になっています。

本手法はデジタル信号データをスピーディーに抽出し、それを小型のコンピュータにて解析するための解決策の一つになるのではないかと考えています。

様々なデータ処理やデータ可視化があるが、グラフ化しても同じ形の信号が押し寄せてくるだけに見える。ベクトルを作ることやファインチューニングが難しい。

こうして加工され圧縮されたデータは元の信号が縮小され、さらに特微点においては特殊な圧縮や拡大が起きています。

4)デコーダモデル

生体信号は体の場所、信号の種類により様々なものがあります。(電気、音、光等)また心拍、歩行、神経伝達に代表されるようなリズムを持ったものが多くあります。

【時系列データから解析用データへ】

データを圧縮してさらに小さく切ると、とりとめなく長く、とらえどころのない時系列データは多変量解析のできるベクトル形式へと変換されたことになります。これらのデータの扱いは下記の3種類で行うことになります。 

                 ・統計的手法(例:数量化4類)
                 ・機械学習的手法(例:決定木)
                 ・言語モデル機械学習的手法(例:Transformers)

人間が使う言語は、単語や文節に切る、そして文章という法則に並べる、このようにすることにより背景にある情景や感情が表現されます。そしてそれをコンピュータが扱うことができます。同様のことを生体信号にも応用しようと試みています。

          ウェアラブルにて収集できる信号には下記のようなものがあります。  
         
​         ・心電図  ・脳波  ・脈波  ・眼電図  ・呼吸派  ・胃電図
         ・(脳波)  ・筋電図  ・脳血流  ・体の動き  ・皮膚電位

ここまで説明してきたこと、データの圧縮と特微量を捉えることは「主成分分析」の一つと考えることができます。
前回のテーマ「脈波」を例にとり、次の段階「因子分析」へと進みましょう。

脈波とは血液の流れている量を測定しています。伝承東洋医学においては、手首・足首を手で触れることにより脈を観測して病状を把握してきました。様々な科学的な診断技術の発達により、現代の医学においてはあまり重要な診断基準となっていません。あまり利用価値がないとされている脈波ですが、現代科学技術を使うと全身のどこでも観測することができる(少し高級なスマホのカメラならば取得することができます)健康指標として最適なものではないかと思います。そのためには、いろいろな方の脈波をコンピュータの力で解析できるようにする必要があります。

                脈波は、次にあげる要因により決まると言われています。

    ・一次的な要因・・・心臓拍出量/血管の弾性/血液の組成・粘性/
    ・二次的な要因・・・年齢/気温・体温/精神状態(緊張感・リラックス度)/運動/食事/その他いろいろ

     コンピュータを使った脈波の解析により、これらの要因との因果関係を探り出すことが必要になってきます。
​     これにより、日本の伝統医学の脈診とも相関関係を認めることができます。

【微小信号再考】

前回取り扱った微小信号の付加について、再度考えてみましょう。付け加える微小信号の形は以下のようなものがあります。

        非線形波        ・三角関数  ・楕円関数  ・指数関数
         線形波        ・三角波  ・ノコギリ波  ・パルス波  ・方形波

それぞれの波には周波数・振幅の変化、波形の合成、スイーブ等も行えます。微小なcos波を付けたカーブを考えてみましょう。以下のグラフはなだらかな曲線を描いていますが、実際は離散的なデジタルデータを扱っています。微小な関数の添加は、算数的な加減乗除にて行われます。


        まずは y=a のような 平らな波形を見ます。頂点と底点は一定の間隔で現れます。
        この間隔は周期と振幅がそのまま反映されます。
        
​        ※以下に表示するグラフの形は不正確です。ご容赦ください 

ズ」ず」1.jpg
ズ2222.jpg

次に y=x 一定の間隔にて線形変化する直線についてみます。
形は変わるものの、やはり同様な間隔に頂点と底点が現れます。

もう一つ、極端な例として y=100x のような急勾配に対して見てみましょう。この場合は、伸びきったばねのようにcos波が引き延ばされ、頂点と底点は識別不能となります。

|発展編|

図33.jpg

上の三パターンをまとめると、急勾配の直線に付けた小さな波は消えて、緩やかな勾配に付けた波はそのまま小さな振動が残るわけです。また、振動周期と振幅は元の波の数値をそのままの形で保っています。

生体信号のような波に対してこれを行うと、話はもう少し複雑で不思議なことになります。パラメータを適度に調整すると、場所により周波数や振幅が微妙に変化します。変化の量はとても中途半端な数字となります。一波長の波が付いたり消えたりするわけではありません。またデータが一律に圧縮されるのではなく、広がるところと、縮まるところが不規則に出現します。三角関数一つを付けるだけでこのようなことが起きますので、合成関数や楕円関数等はさらに複雑なことになります。さすが、暗号化や量子化でもつかわれるわけですね。こうして、データの圧縮と特徴量の抽出が行われます。

図44.jpg

【次元の削減】

もう一度私たちの目標を確認してみますと「全体信号と疾病・体調の因果関係を探る」ことにあります。信号を圧縮したとはいえ、時間と測定値という二つの次元を持っています。どこかにポイントを絞ることが必要です。一つの一つの圧縮された波の上下の動きを見るための条件を考えましょう。小さな波を付けたデータなので

・隣のデータ同士を比べる———頂点と底点、底点と頂点
・二つ先のデータと比べる———頂点と頂点、底点と底点これらのどこを取り出すか、そして
・時間的な伸び縮みを見る
・数値的な伸び縮みを見る

このようにして、更なる注目点を決めます。
どのデータを取り出すとデータ解析が効果的なのかは、今後の研究となります。
まず統計的な分析を行いその後、いろいろなパラメータを組み合わせる機械学習的な手法を取り入れていくことが良いと思います。

これまでのレポートをまとめます。
 1  ウェアラブル健康機器からデータを収集する
 2  コンピュータへデジタルデータとして送信する
 3  コンピュータが受信したデータに、微小な稼働データを付け加える
 4  微小信号の頂点と底点部のみを取り出す
 5  脈一拍のような一定の幅に切り出し、長さを整える
 6  切り出したデータについて、更なる特徴を見つける
 7  波形のクラスタリング、背景因子を分析する

まとめ

パラメータをずらすことにより、より良い信号抽出ができるようチューニングを行う変化させるパラメータは・添加する微小信号  形/周波数/振幅・圧縮信号の解析  一つ隣の値を使うか、二つ隣の値を比較するか、時間の伸び縮みか、測定値の伸び縮みか以上のパラメータを変化させながら全体信号と疾病・体調の因果関係を探ることを目標として取り組んでいきたいと思います。

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析(1)
 

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析(2)
 

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析(3)
 

【課題と目的】

IoTという言葉がありますが、現代は高感度なセンサーと小型で高性能なコンピュータ、それらのネットワークに囲まれた生活を送っています。これらのセンサーからは、異常を知らせる信号やリアルタイムの測定値が入り便利です。異常値の出現時や大きく変化するデータは、これまでの技術で判別することができます。しかし、リアルタイムの測定値のほとんどはサンプルレート500Hz~数千Hzのデジタル数値信号です。そのデータをグラフにすると、ゆらゆらした不規則な曲線の連続になります。問題となるのは多くのセンサーから、1秒間に何千何万と収集された、うねうねと連なるデータを比較分類できるか、解決手法があるのかということになります。

【先行手法】

まず、これまで行われている解析手法を見ていきましょう。時系列データを解析する基本的な手法は、ある値(ほとんどの場合は平均値)からの距離を測り比較してゆきます。平均値からの距離の集合は分散・共分散と表現されます。そしてその類似度を見ます。さらにいくつかの集合に分割して類似度を見ます。相関と言われる0~1の数字で表現されます。分散や創刊はデータを一定の規則に従い計算することにより求められます。

【実際にやろうとすると】

多くの統計専用アプリ等が行っているであろうと予測する、私なりの線形代数的な解釈を試みます。数学の専門家ではないので、間違えがあればご指摘ください。まず、ベクトルAとBを用意してこの二つを比べるとしましょう。まじめに比べるためには、先ほど書いたようにベクトルデータの総当たりをして分散・共分散を計算します。
          
               A =(a 1 ,a 2 …a n )          B =(b 1 ,b 2 …b n )

ここで、AとBを次のように表現できるベクトルXがあるとします。
             
               A = a 1 x 1 +a 2 x 2 +…+a n x n   B = b 1 x 1 +b 2 x 2 +…+b n x n

このXについて分散・共分散行列を作ります。この行列は、対称行列になります。そして、対象行列は必ず固有値ベクトルΛと固有ベクトルUにて次のように書き換えることができます。(ここの証明は省略させていただきます)(右肩の-1は逆行列、左肩のTは転置行列)
      
               X = UΛU -1  = UΛ T U

さらに、AとBの関係はこのXを媒介して次のように表現されます。(証明略)
      
​                   T AUΛ T UB

これはベクトルAとBを線形結合で表現できるベクトルXがあるとΛという固有値ベクトル(ある数値が対角に並んだ行列)と固有行列との内積で表すことができることになります。更に内積の値は分散・共分散そのものを表し、内積をノルムとcosθで表現するとcosθが相
関係数になります。この固有値が主成分分析の特徴量抽出の係数となります。(証明略)つまり、1万個のデータがあった場合、1万×1万回の計算がわずか1万回の計算に縮小され同時に特徴量(固有値)の抽出ができます。スタートが分散なのでこの特徴量は正規分
布も満たしているそうです。「このように都合の良いベクトルはいつも存在して利用できる」という理論は、データサイエンスで証明されているらしいです。(私の数学力では証明不可能)そして、ふにゃふにゃと並ぶセンサーデータに適用できるか疑問が出現します。

まず、もう一度、やるべきことを確認しましょう。様々なセンサーデータがあります。特徴的な異常値はすぐに判別できます。これから判別したいデータは、うねうねと同じような形の時系列データの分類ができるかどうかということです。床一面に広がる糸くずの中から、同じ形の意図を探せと言われている状態にたとえることができます。
なおここで展開する理論は、数学の専門家ではない人間が解説しておりますので、数学的に成り立たない場合はご指摘をお願いします。正確な理論展開をするためには、各変数が「線形独立」であるとか「ハウスドルフ」であるとか「イデアル」であるとかを証明する必要があると思いますが、ご容赦ください。

新しい手法の再確認をします。①~⑥

1 生体信号にAcosθの微小信号を付ける
2 微小信号の頂点と底点を取り出す
3 パラメータを調整すると一定の位置に出現するはずの微小信号の頂点と底点にずれが生じる
4 特定なずれ数値を決め、そのずれの出現する時刻の分散状況を調べる(例えば現在行っている脈波解析では振幅82・周期は1000分の20秒です  
 が、この振幅82が増減する、あるいは1000分の20秒が19,18,17,16・・・と変化して数値が出ます。ある人の場合に17がたくさん出るよう  
 ならば、その位置の分散状況を調べます。)
5 パラメータを変えながら、この作業を繰り返す
6 この分散値のベクトルを作り、内積をとり類似度を比較するデータサイエンスらしくなるようにcosθを微小信号として付けていますが、他の 
 波形でも可能です。少し数学らしく書きますと、新しい波形f(x)は、最初の波形g(u)と微小波形h(v)の和になります。
 
f(x) = g(u)+h(v)
cosθの頂点と底点、微分値ゼロの地点を取得することにはどんな意味があるでしょう。①と②これを線形代数から考えると、uとvは直行ベクトルつまり内積ゼロ、自分自身の内積がu、v自身になる箇所を取り出しています。このような所では上述のf(x)は線形代数ではベクトルu,vの各要素の2次式として展開されますが、直行ベクトルがゼロになることからuとvの項のみが生き残り、次のような変形もできるはずです。
f(x)=g(u)+h(v) = g(u+w) ……h(v)を適当なwで表す
実際のデータからf(x)を直接作り出すことはできませんので、隣り合う数値の差を測定結果として取り出しています。頻出する数値の出現時刻を取り出します。分散状況を調べます。

こうしてある特定の数値と分散・共分散ができます。(④⑤⑥に該当するところ)前節の理論を使うと特定の数値(特徴量・固有値)と分散・共分散があれば固有ベクトルもあることになります。このような地点は何か所も作れます。これらの数値を比較することでなだらかに変化を繰り返す曲線の比較ができるであろうということが、この手法の役割となります。従来の固有値・固有ベクトルがありデータを当てはめるのではなく、特徴点と分散・共分散を作り、データを比較することで、どんな曲線も解析できるだろうと考えております。

【今回の新しい手法について】

1 実用化できるか(スピードと完結性はあるので有効なデータ解析ができるかが勝負)
2 データサイエンスとしてのバックボーンは正確か心配
3 複素数に拡張できるか(楕円関数のような特殊関数を使い、複素数まで拡張できると特徴量・固有値の位置づけがもっと明確になる)

【今後について】

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析(4)
 

本手法の手順を改めて表示

1 まず規則的な微小信号を本のデータにつける。一定のルールに基ずく信号変換であるためには、必ず一定周期の信号を付けます。
2 パラメータを決める。パラメータとは、信号の種類・振幅・周期・位相を指します。
3 パラメータを適切に設定すると、規則的だった微小信号にランダムな変化が現れます。この変化は、微小信号を添加する前の元のデー 
 タの性質を反映するものとなります。
4 微小信号と元の信号を合成した信号の、特定な地点(微小信号の頂点や底点、特定な直線や曲線との交点)を結ぶことにより、様々な
 線分や図形が出現します。(橋げた模様が見える)
5 これらの線分や図形を数値ベクトル量として表現します。
6 このベクトル量を幾何学的・統計的な解析をすることにより、データの特徴を見出すことができます。
7 これらの演算は、電子回路・コンピュータによる高速演算にて行うことができます。

​これを使い実測データ(脈波)を表示してみましょう。

|実践編|

【この取り組みにて解決していること】

【添加するパラメータの調整について】

添加する信号のパラメータの決め方ですが、現状は手動にてプログラムを変更しています。これからプログラムを工夫することにより、最適なパラメータの自動探索ができるように予定しています。まず、微小信号のパラメータの種類ですが、「周期的に変動する数値」となると思います。具体的には、「三角関数波」「パルス波」「矩形波「三角波」「のこぎり波」を挙げることができます。これらをいくつか組み合わせたものも使えるはずですが、実際に使ったことはありません。今回の実験ではcos波を使っています。さらに、振幅と周波数の選択が必要になります。

本研究の目的の一つとされている「脈波信号の解析」を例にとり、実際の測定値の解析を提示します。
脈波を収集、グラフ表示をすると下記のようになります。

【実際の測定値の解析】

[1〕63歳(男)

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[2〕63歳(男) [1〕と同じ人 入浴後

図12.jpg
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[4〕31歳(男) 緊張を緩めるための漢方薬を服用して30分経過後

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[3〕31歳(男) 仕事を始める前、少し緊張している

[5〕68歳(女)

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これらのデータに微小信号を付けて加工します。①と②は振幅41、③と④は振幅54、⑤は振幅51をパラメータとしています。また、微小信号の周波数はいずれも1000分の1秒につき1/5πを加算しています。(つまり100Hz)振幅は、データが約10分の1程度に圧縮される量としています。整数値を少しずつずらして決めています。ただし、①と②は、1の圧縮に合わせ、③と④は③のパラメータに合わせています。収集されたデータは、さらに解析のための計算をします。計算結果項目の説明のため、次の図をご覧ください。計算結果の表が、どこを計算しているかの対応関係を示します。

図16.jpg

Tの値は横軸で時間、Xの値は縦軸で観測値を表します。元のデータ項目と計算結果の項目があり、左から順に、信号出現時間、信号強度(大きいほど血流が多い)、微小信号をプラスした信号強度、1項目開けて、T 1 -T 0 ・・・、X 1 -X 0 ・・・、T 2 -T 0 ・・・、X 2 -X 0・・・となります。
経過時間、元のデータ値も並列に保持しています。ここには表現してありませんが、脈波の1拍をどこで区切るかといったデータも同時に計算して保有しています。

[1〕の計算結果の一部分

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図18.jpg

[2〕

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[3〕

[5〕

図21.jpg
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[4〕

ここで注目したいのは、左から5項目目と7項目目です。この数字は実測データが、なだらかな曲線の場合はすべて5と10になります。ところが、それ以外の数字、特に半端な数字が多く出現します。もう少し特徴を捉えるために8項目目の数値を7項目目の数値で割ってみます。X 2 -X 0 /T 2 -T 0 、 X 3 -X 1 /T 3 -T 1 ・・・・を計算していきます。

図22.jpg

図2は図1を少し変えたものです。「トラス橋の橋げた」や「あみだくじ」のように見える水色の線があります。これらの各辺の変分や、三角形四角形の面積を比較することによりさらに特徴量をつかむことができます。今回は変分値を取っています。以下にその計算例を示します。プラスは縦軸の値Xが増加しているところ、マイナスは減っているところです。

下記の数字は、①と②を変分量にて比較したものです。①は日常生活の数値、右は入浴後の数値です。数字を取り出している脈の箇所が違いますのではっきりしませんが、並んでいる数値の違いは感じ取れると思います。全く同じパラメータを使っています。

図24.jpg

Val8のデータが微小信号を付けたデータの頂点と頂点・底点と底点の差を取ったもの、Val7はその時間差を表しています。さらにVal8をVal7割った値を算出して、脈波の特徴を表すための数値としていました。これが、微分とどう違うのかが、疑問点でした。
 
 

図25.jpg

脈波のグラフを見ているだけでははっきりとした違いが判りませんが、大きな違いを瞬時に表現しています。近年の信号解析では、2階微分やフーリエ変換を使っているものが多いのですが、本手法は、簡単な行列演算のみでリアルタイム処理として行うことができます。ソフトウェアのパラメータを変更することのみで様々な人の様々なデータの解析ができます。使用するメモリー資源の節約や、繰り返し処理を減らすことによりスピードアップを図っています。

今回のデータは、時間当たりの測定値の違いを数値としております。これだけを見ると微分と同じではないかと思います。しかし、単なる微分のみではないことに注目してください。今回は変分のみを例示しましたが、図2の水色の線は幾本にも様々な形の分割ができます。その一つ一つがベクトルであり、比較できるベクトル量だと思ってください。一つ一
つの線分は、ベクトルとして比較できます。内積や固有値、固有ベクトルも算出でき、それらが統計量としての意味を持っています。また、描き出される三角形や四角形の形や面

積も算出・利用することができます。もう一つの特徴として、パラメータがあります。パラメータの調整により、データの圧縮率や算出される数値が大きく変わります。パラメータの調整とデータの比較には、パラメータを固定して、圧縮率の変化と計算処理データの変化を比較する場合と圧縮率を固定して、パラメータの変化と計算処理データの変化を比較する場合この2種類になります。前述のようにどちらの手法を使っても、測定値の計算結果を比較することができます。

パラメータの違いによりT(時間軸の差分)とX(測定値の差分)が大きく変わります。パラメータの違いは、データの時間軸の圧縮とデータ測定値の増幅を行っています。パラメータの違いは、計算処理後のデータにしっかりと反映されています。同様の操作は、元のデータの前処理段階にて圧縮・拡大してから微分・積分してもおこなえますが、本手法はベクトルや行列の演算として行うことができることを特徴としています。

さらにもう1点、系列データの解析においては、違った次元を持つ仮想空間にベクトルを作ることが行われます。代表例としては言語の解析や分子構造と薬効についての解析を挙げることができます。本手法においては、測定データをそのまま実空間にてベクトル化しています。そして実際のデータの上下にわたって微細信号を付けているため、これまでの代数演算を使うことが可能であると考えています。例えば、非線形光学材料やトポロジカル材料の解析においては、新しい数学概念が必要ですが、本手法においてはこれまでの線形代数演算のみで解決しています。生体信号なので本来は非線形なデータの取り扱いをしなければならないケースが出ると思いますが、当面は、この計算手法にての実データの収集・解析を行っていきたいと思います。

【脈波を決める因子とは】

|微分と比較|

ウェアラブル機器を使い収集した生体信号の解析(5)
 

この手法はこれまでの信号処理と違うのか、微分やフーリエ変換を主体とする信号処理と違うのか。これが大きな課題として挙がっておりました。頭で考えていてもよくわからないので、実データをもとに解析を行いました。

【この手法は微分と違うか】

【解析結果】

これまでに例示してきたことを含め、微分との違いを検討しました。これまでとは違うデータを使い、一つの結果を表示します。これまで例示したデータについては、追ってまとめることといたします。微小信号を付けたデータをグラフ表示すると、以下のようになります。

図30.jpg

これまでに例示してきたことを含め、微分との違いを検討しました。これまでとは違うデータを使い、一つの結果を表示します。これまで例示したデータについては、追ってまとめることといたします。微小信号を付けたデータをグラフ表示すると、以下のようになります。

まず、元のデータから10個おきに取り出してグラフを作ります。つまり、単純に微分を行
ったグラフです。

名称未設定 11.jpg

次に、微小信号の解析を示します。

名称未設定 122.jpg

横軸はほとんど同じ程度の圧縮、縦軸の数値は全く違うことに注目してください。また、同じデータですが、微小信号を付けた方が、データが‘まばら’になっています。微分と微小信号解析は全く違う結果を示しています。
 
この解析をやってみて初めて分かったことは、ノイズをたくさん含んでいることです。収集データの7~8割には微小ノイズが含まれていました。それなりの数値は得られますが、ノイズ除去をソフトウェア的に行ってみました。そして、60Hzの信号を削除することに
成功しました。ノイズを除去した信号をスペクトル分解してみると、倍音である120Hzの信号が少し残りますが、さほど問題になる量ではないと考えています。

ノイズ除去後の信号を表示します。

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最初の図と、大きな違いが判りません。
このデータの微分と微小信号解析をしてみます。
 

ノイズが除去され、きれいな波形が現れました。
 

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同様のデータに対して、微小信号を付けたものを示します。

縦軸の数値が違うことに注意してください。
また、微分と微小信号解析の結果は違うものになっています。

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以上の結果から、微小信号解析について次のことが言えます。

1. 微分とは違う。また、ロックインアンプとも違う。
2. ノイズのあるデータや、激しく振動する信号も扱える。しかし、ノイズの除去ができるとさらに良い解 析ができる。ウェアラ
        ブルは様々な生活空間で使用せれ、配線のシールドもされていないので、ノイズはつきものである。
3. したがって、ウェアラブル健康機器の信号のほぼすべてが解析可能である。これまでは、脈波や脳波といった限られた用途を
        考えていたが、筋電図、フォースセンサー、スペクトル解析にも使用可能と思われる。
4. 2つ以上の信号を重ねて、更なる解析ができる。(請求項への追加事項)
5. 三角形の面積のような計算をすると、データの増幅が可能である。
6. データを細かく分断できるので、因果分析ができる可能性もある。

【微小信号解析の特徴】

技術的な独創性の確認とパラメータの決定方法を行うことができましたので、実用化に向けて様々な実データの収集と統計的手法の構築を考えていきます。多変量解析の領域に該当すると思われますが、この領域は「主成分分析」と「因果分析」があると思います。本手法は、「主成分分析」に該当するものとなります。元のデータから必要な量を抽出圧縮、特徴を捉えるということになります。「主成分分析」では、データを元に戻すことも重要なテーマとなりますので、その点も課題となると思います。

【今後の研究課題】

【応用領域】

携帯端末により収集できるデータについて考えてみました。
まず以下の信号には利用できると思います。

脳波・脳血流/脈波(指先・耳たぶ)/呼吸波/胃電図/心電図

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